ウィーンの街を歩いていても、ドイツ語の広告を見てもさっぱりわかりません。英語と共通点のある単語を探してみて、だいたいこんな意味かなーと想像するに留まっています。本当に言語能力が、ゼロなのです。言い訳をするなら、まだドイツ語の勉強を始めていませんが、そういう問題以下のレベルです。知ってる単語は、1、2、3(4から先は怪しい)、男性、女性(トイレに入るのに必要)、入口、出口(出口では扉が開かなくて困る)くらいです。
そんな私が、昨日、ふと駅の広告に知っている単語を見つけました。おおお!初めてだ〜。それがこちらです。

それは、ハッシュタグの中を構成する”zusammen”の部分。有機化学で最初に習うことの1つに、化合物の命名法があります。どんなに複雑な構造でも、同じ化合物には誰もが同じ名称をつけられるように、IUPACで順番や規則・法則が定められています。簡単な幾何異性体では、cis, transを使います。トランス脂肪酸で有名ですね。zusammenは、cis, transで表現できないような立体異性体の表記方法に使われます。

簡単な化合物を例にすると(実在するかどうかはさておき)、上段の例では、Brが同じ側についていればcis, 対面にいればtransです。下段では、置換基に優先順位をつけ、優先順位の高いBrとNH2が同じ側にあればzusammen (Z), 反対側にあればentgegen (E)となります。このような筆頭語のようなものをつけて化合物の名前を示すことを、E-Z表記と言います。というわけで、理学部化学科や薬学部を出た人なら「つーざんめん、えんとげーげん」は呪文のように覚えるのではないでしょうか。そんなつーざんめんに、街中で出会える日が来るとは・・・。感無量です。
ちなみに、表記方法としての覚え方は、私の場合は「逆」でした。なんとなく、transぽい方が(Z)っぽいけど、実際には(E)なのだ、というひねくれた覚え方でした。そんな自分のひねくれた部分を忘れてしまい、頻繁に(E)と(Z)をとり間違えていたのは、言うまでもありません。

ちなみに、光学異性体を示すR-S表記のR,Sはラテン語の右、左を意味するRectus、Sinister 、DL表記のD,Lはdextro-rotatory=右旋性(+)、levo-rotatory=左旋性(−)に由来するようですが、なぜかこれは習わなかったので当社によるwikipedia調べです。
で、最後まで記事を書いて、はて、この化合物、どうやって命名するんだっけ?と数分悩んでいます。(2Z)-2-bromo-3-amino-2-butene?こんな簡単な形なのに・・・やばい・・・。この記事、書くんじゃなかったです。
