私が初めて自分の意思で1人で海外に行ったのは、New Yorkが初めてでした。成田からJFKに飛んだのは、9.11の数年後、2005年の秋。当時の写真を見返していて気づいきましたが、UNITEDの機体のデザインが今とは異なっているようです。
到着した2005年11月のNew Yorkは、とても寒くて、膝まであるダウンジャケットを買ったことを今でも覚えています。
異国で暮らす日本人画廊経営者を紹介してもらい、チェルシーにある自宅のパーティ(外国人だらけ)に招待してもらって、初めてトリュフを食べて笑われたりしました。いわゆるステレオタイプな、New Yorkで成功したアーティストな暮らし。犬を連れて週末はロングアイランドの別荘。一生こんな生活には縁がないな、と思いました。
さて、New Yorkにどうしても行きたかったのは、ある場所を訪れる為でした。その場所とは、ニューヨーク市立図書館。理由は、今流行りの聖地巡礼です。当時はそんな言葉はありませんでしたが。
私の年代の人ならきっと知っている、BANANA FISHという漫画があります。ほとんど漫画を読まなかった私が今でも手放さずに持っている漫画です。もう何度読んだかわかりません。最近、アニメ化されたことでも話題になりました。別冊少女コミックに連載されていましたが、内容は全く少女向きではありません。好き嫌いがはっきり分かれる漫画です。小学5,6年から読み始めて、最終巻が高校2年か3年の秋だったと思います。最終巻を塾の前に立ち寄った書店で買って塾に行って授業前に読み始めて号泣したまま授業を受けて、別室に連れて行かれました。先生に漫画で泣いていたとは言えないお年頃。

この漫画が秀逸だったのは、漫画の形を取ったハードボイルドであり、BANANA FISHの由来がサリンジャーの短編に登場する「見ると死にたくなる魚」であるだとか(実際にはそういう記述はないのですが)ところどころに散りばめられて後にきちんと回収される小ネタです。BANANA FISHをきっかけにサリンジャー、ヘミングウェイを全部読んだことは言うまでもありません。
最も素晴らしいのは、ヘミングウェイのキリマンジャロの雪の冒頭の引用です。第8巻、主人公のアッシュ・リンクスは、親友の奥村英二に、その豹の運命ともう戻れない自分の運命とを重ね合わせ、その一節を紹介します。
そして、最終巻である第19巻、元はギャングの抗争相手だったシン・スウ・リンの兄に、主人公のアッシュは刺されます。その時、アッシュが手にして読んでいるのは、シン・スウ・リンがアッシュの元に届けた、帰国してしまう奥村英二からの手紙。10巻のギャップを経て、豹の話がしっかり回収されます。
「君はヘミングウェイの小説に出てくる豹の話をしてくれたね
君は豹じゃない 運命は変えることができる
そうだよアッシュ 運命は変えることができるんだ」
(はい、ここで号泣・・・)
そう、この時、アッシュがこの手紙を読みながら死んでいくのが、ニューヨーク市立図書館だったのです。
うん?登場人物たちの名前に何かを感じる?それは、きっと気のせいです。
もう1箇所、ヨーロッパ内に同じような目的(聖地巡礼)で行きたいと思っている場所があります。しかし、同じヨーロッパ内なのにヒースローで4時間待ってトランジットして・・・という具合で、週末2日だけでは旅程が難しくて悩んでいます。いつ行こうかなー。



ニューヨーク市立図書館…まさかと思いましたが、やはり。BANANA FISHはいつまでも心に残りますね。
秋月さん、そこはゴーストバスターズでもSex and the cityでもなく、BANANA FISHですよね!ほとんど漫画を読まない子供だったのですがこれだけは、何度も何度も読みました。
wienerwaldさん、ありがとうございます。
そこは絶対にBANANA FISHですよ。あれ程心を揺さぶられることって中々ないですね。
秋月さん、不思議な漫画でしたよねぇ。後の漫画に大人になった月龍やシンやあーちゃんが出てくるのですが、なんだかオマージュにしか思えなかったです。話は面白いんですけどね。