春山Split始めました。@Annaberg

日本では、仲間がいたのでチームを組んで冬山をスノーボードを担いだりスキー(スプリットボード)にクライミングスキンをつけて登って山を滑っていました。アバランチコントロールのトレーニングを受けたり、雪氷学に興味を持って勉強したり、いろんなことをしていました。でも、そのきっかけは、とても単純なのものでした。

「上に見えてるあの斜面、滑りたいなぁ・・・。登ってみようかなぁ。」

今ほどBC(バックカントリー)とかオフピステとかという言葉も知られてなく、ワンダーフォーゲルとか山岳会とかのコアな人々しか山スキーをしていない頃でした。無知とは怖いもので、よく通っていたゲレンデのリフトトップにあった入山届裏面が地形図になっていたものを握りしめ、ひとりテクテクと地形図を見ながら滑りたい斜面を目指して登り始めました。地形図から見るに、いつも滑っている裏道にどうやら戻ってこられるぽい。当時、私は20代前半。本物の無知です。

その時の画像

1時間ほど登ったところで力尽きました。だって登山経験ゼロ。大昔に使われていて、放棄されたリフトトップです。(その10年後、復活するのですが。)念の為持ってきたバーナーと水でお湯を沸かしてカップ麺を食べました。目的にしていた斜面に辿り着くころにはゲレンデの営業が終了しちゃうのでは・・・?と思い、途中からドロップを決意します。(今思えば非常に正しい決断。)深い雪に埋まって半泣きになりながら無事にゲレンデに戻ってきて、「生きててよかった〜」と思いました。

本当に無知でした。

ドロップポイントにいた知らん人

東京に帰ってきて、はて、地形図の裏にある「入山届」とはなんぞや?なぜワンゲルの人たちはあんなにスタスタとスキーで登っていけるん?これは勉強せねばならん。と、いろんな山道具のお店に行って、何をすればいいのか尋ねて歩きました。

  • どこかの山岳会に所属しなさい。女性がいるところ紹介してあげるから。
  • スノーシューってのがあるからスノーボードの人はそれ使って板をかついで登るしかないね。
  • 最低限、ビーコンを持たないといけないよ。(え、それいくら?たっか!!!)雪崩は怖いからね。(え、雪崩ってなに?)
  • 地形図の読解力を上げるトレーニングをしないといけないよ。夏山で勉強しなさい。
  • 危ないから絶対1人で行かないこと!ガイドさん紹介してあげるから、ガイドについて勉強しなさい。

一部の意見を取り入れ工夫すること数年。当時は、ガイドさんといっても地元のオッチャンとかで、そのまま下山して新潟の奥地で温泉+居酒屋連れて行かれて飲んでしまい、東京に運転して帰られなくなって車で寝たりしていました。地元のオッチャン達の山の話が半分も意味がわからなかったし、山の怖さも知りませんでした。「先々週も来た子か。じゃあ、次はあっちに行こう。面白い斜面があるから。食い物持ってるな?次からはおにぎりはダメ。凍るから。」「へええぇ、おっちゃん、なんでもよく知ってるなぁ。」それはそれですっごく楽しかった。

それから2−3年、博士課程の財政難で滑りに行く回数が減っていたころ、オフピステとかBCという言葉が出てきて、ツアーガイドのサービスがどんどん増えて、どこのスキー・スノーボードショップでも必需品を売るようになって、あっという間にゲレンデの外・いわゆる山スキー(スノーボード)が一般化しました。そして、私も博士課程から山に本格復帰。専攻を雪氷学に変えようかと思うほど入れ込みました。それから10年近くなるでしょうか。ビーコンを買い換えること4回。アバランチトレーニングや講習会に参加すること数えきれず。冬山を登っては滑っていました。

友人が雪崩でその友人を亡くしたり、友人が立木に衝突してビパークしいると同じ山域の帰り車のニュースで名前を聞いて急ブレーキを踏んだり、出身校の子が雪崩で亡くなったと聞いて顧問の先生を訪ねたり、身近な問題も経験しました。

それでもやめられない趣味。

山を登って滑る。

森を滑る。

森の中で冬の寒さと春の息吹を感じる。

去年は帰国してガイドツアーに参加したりしました。今年は諦めるつもりだったのですが、諦めきれず、東京からクライミングシールとビンディング等備品を送ってもらったのが1月末のこと。税関で荷物が1ヶ月スタックして手元に届いたのが2月末。板は規格外になるので国際便で送ってもらうとすごいコストになるので諦め、こちらで板を買ってドイツのお店から届いたのが2月中旬。ホットワックスだけかけて塩漬けすること1ヶ月以上。スキー場が営業している間は、スキー場にお金を落とさねば。

  • スキー場が営業している限りは、コロナで大変なスキー場を応援する意味でもスキー場にお金を払おう。
  • スキー場が営業を終了したら、リハビリがてら春山スキー(スノーボード)を始めよう。

そして今日、やっと、イースターホリディを最後に営業を終了したスキー場を登ってきました。

当然、バディも友人もいない。1人だし遭難の可能性を限りなく減らすために色々工夫。ちなみに私が使っているのは、スプリットボードという装備でスノーボードなんだけど、2つに分かれてスキーのようにクライミングスキンをつけて山を登って、合体させてスノーボード状態で滑ってこられる商品(?)です。

営業が終了したスキー場。気温は20度近く。下から見上げても雪が途切れているところがありました。

それでも雪がつながっているところを辿り、30-40分ほど登ったところで、さらに上部では、ほぼ雪が消えていることを確認して、トップまで行くことは諦めて戻ることにしました。まぁ、ライブカメラで予測していた通りなのでそれはいいんだけど。

と、下山を始めると、予定していたコースとは違うコースを下っていることに気づきました。雪が途切れて、10 mほど泥の急斜面が続きます。仕方ない。板を脱いで、板を肩に担いで歩き始めた一歩目。

滑って転びました。

そして泥と雪の上をお尻で滑り落ちること10-20 mほど。時間にして数秒。1人でまっさきに言葉に出たのは、

「まじかーーーーーーー!!!」

そして雪の上でやっと停止して泥だらけの自分を見て一言。

「Fu*k!」

泥まみれです。肩に担いでいた板も、何もかもが、泥だらけ!!!! 雪の上で泥だらけの足でブレーキを踏んだ雪が顔に飛んできて顔も泥だらけ。幸い、暖かかったので高級ウェアは車に置いていて、着ていたのはユニクロヒートテックのタイツと短パンだったのですが、上下ウェア+ザック+ブーツ+ストックの全てが泥まみれです。

車に戻って泥まみれの装備を眺めて、改めて一言。

「Shit!」

これって・・・もしかして、他人から見たらめっちゃバカで面白いのでは?と思うも、自分は意気消沈。短パンとタイツを脱いで、車に置いていたスキーウェアに着替えて運転して帰宅です。

春のオーストリアの田舎

帰宅して、泥だらけの道具達を前に途方に暮れ、たった数秒の泥の上のスリップのために、1時間近く道具を洗いました。

良いリハビリになりました・・・。

春山、Splitboarding、始めました。

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