日本にスキーが伝わったのは、1911年。オーストリア・ハンガリー帝国からでした。伝わった先は、新潟県上越市。オーストリア=ハンガリー帝国の軍人、レルヒ少佐によるものでした。

月日を経て日本のスキー場に投資が回ったのは1980-90年代のバブルの頃。そして現在の日本のスキー場は、バブル当時の古い設備を大切に維持しているところが多いように思います。一方のオーストリアのスキー場は、ツーリズムの盛り上がりで設備投資が今も活発で、来客の多い大きなスキー場には立派な設備が目立ちます。また、森林限界よりも上にゲレンデがあることも多く、視界が広くひらけた真っ白な山々に囲まれてスキーができるのも日本とは少し違った魅力。
「オーストリアでスキーって普通にできますか?日本と同じですか?」と聞かれることが多いので、この記事では、安心して楽しめる事前情報として、日本とオーストリアのスキー場におけるマイナーな違いをまとめておきたいと思います。
今も昔も、ヨーロッパの仕組みが日本に伝わっていることには変わりありません。従って、日本でスキーをしたことがある・日本でスキー場に行ったことがある人ならば、マイナーな違い程度でオーストリアでスキーをする・スキーに行くことに何も抵抗ないのではと思います。一つだけ重要な違いは、ヘルメット着用率99%です。2025年からはイタリアは着用義務となりました。
オススメのスキー場はこちらから。
オーストリアのスキーシーズン
オーストリアも日本と同じです。一般的にスキー場がオープンするのは11月末から3月末です。昨今は暖冬が多く、スキー場のオープンが12月中旬以降になるようなことも日本と状況は同じです。人工降雪機での造雪もがんばってます。
以下の表は、ウィーン近郊(Stuhleck, Hauser kaibling (Schladming))、チロルエリアの氷河スキー場(Stubaier Gletscher)、チロルエリアの一般的なスキー場(Ischgl)における2023/2024シーズンの営業日程例です。標高の高いところは営業期間が長く、標高の低いところは営業期間が短い特徴がよくわかります。唯一、日本にないことは、氷河のスキー場の営業がめちゃくちゃ長いことでしょうか。
| スキー場名 | 冬シーズン 開始 | 終了 | 夏シーズン 開始 | 終了 |
|---|---|---|---|---|
| Stuhleck | 2023/12/14 | 2024/4/1 | 営業なし | 営業なし |
| Hauser Kaibling | 2023/12/23 | 2024/3/29 | 2024/5/25 | 2024/9/20 |
| Ischgl | 2024/11/28 | 2025/4/5 | 2024/6/29 | 2024/10/13 |
| Stubaier Gletscher | 2023/10/16 | 2024/5/20 | 2024/6/29 | Next skiing operation |
標準的なスキー場:12月中旬ー3月末
11月末から3月末が一般的ですが、積雪状況により12月中旬以降になることも多いです。ホームページやFacebookページで更新情報をチェックのこと。
チロルなど標高の高いエリアのスキー場:11月末ー4月末
オーストリアの西側、チロルエリアのスキー場は標高が高いところが多いことから、4月末ごろまで営業しているところも多くあります。ただ、長期日程で休暇に来る人が多いので主にクリスマス休暇勢をターゲットにしていてオープンは12月に入ってからに設定されているところもあります。また、3月末以降は街に降りるコースの雪は溶けてしまうため、スキー場の上部だけ営業ということも。この辺りは日本の妙高高原や白馬のゲレンデも同じですね。
氷河のスキー場:10月初旬ー5月末
一部の氷河にあるスキー場は夏もスキーができますし。日本でも、乗鞍の大雪渓や、月山などは初夏まで滑られるのと同じような感じですね。氷河なのでそれが年中ということになります。夏は登山や氷河を見る観光目的の人に向けてゴンドラやリフトを動かしておりゲレンデはクローズしていることもあります。
ゲレンデとしては、上部のリフトはTバー(後述)に限られることが多いので、Tバーって何?という人は要注意。また、標高の高い場所は幼いお子さんには適さないとされており、規制もありますのでお子さん連れの場合は注意が必要です。

スキー場の夏季営業(登山とマウンテンバイク)

また、夏期に登山やマウンテンバイクでのダウンヒル向けのゴンドラ・リフト営業をするスキー場では、3月末から4月にかけての営業終了後にメンテナンス期間を設けて、5月末ごろから営業を開始することが多いです。この夏季営業も10月にはまた終了し、冬季営業に備えます。
オーストリアでスキー場に行く準備
スキー場でのヘルメット着用率は99.9%

結論から言うと、自分を守るためにヘルメットはあった方が良いです。
日本のように海に囲まれ冬型になると毎晩のようにドカドカと雪が降る日本海側山沿いのような降り方はしません。標高の高い場所では降った雪が風で飛ばされてカリカリのアイスバーンになっていることも多いです。このため、転んだ時の危険は日本で滑っている時の比ではありません。自分を守るためにヘルメットはあった方が良いです。別の理由として、後述する日本と異なるゲレンデ構成(コース外という概念がない)のため、何かあったら自己責任の意識が浸透しています。
また、オーストリアの多くの地域では15歳以下のお子さんにはヘルメット着用義務が多くの州であるようですのでこちらも注意。ヘルメットもレンタルできます。(ゴーグルのレンタルがないことがある模様。)
At the moment, helmets are also highly recommended for all adults when skiing or snowboarding in Austria and for children up until the age of 15 the use is mandatory in most areas including Salzburg State, Upper and Lower Austria, Styria and Carinthia. The Austrian provinces Tyrol and Vorarlberg do not have such statutory regulations.
オーストリアのスキー場でのスキー率90%以上、スノーボード率・・・

オーストリアで見かけるのはほぼスキーです。オーストリア人だけでなくヨーロッパ人全般的にスキーが90割超えると思います。しかし、スノーボードが禁止されているわけでもありませんし、イギリス人がよく来るようなゲレンデでは少しスノーボード率が上がります。スキーでもスノーボードでもよければ、スキーを選んでおくのが妥当かと思います。スクールもレンタルも充実度が全然違いますので。
スキー・スノーボードのレンタルは品質が良い
日本の汚いメンテナンスされていないようなレンタルはほぼみたことがありません。古くてもメンテナンスが行き渡っているか、比較的新しいギアがレンタルできますので、ご安心を。
この他、ウェアとヘルメットもレンタル可能です。ゴーグルはレンタルがないことが多いようです。全く装備を持っていない人は、最低限、靴下やインナーなどとゴーグルだけを自分で用意すれば、あとはレンタルが可能ということになります。
スキーチケットを買う
スキーチケットの種類
一日券と複数日券がありますが、複数日券を買うとお得ということもあまりありません。
- 毎日一日券を買おうが一週間券を買おうが、0.5-2ユーロ程度しか変わりがないかも。
- スキー場によって2、3、4時間券があることもあればないこともある。
- 一日券以外は、11:30から券と12:30まで券しかないことも。
- オフシーズンとハイシーズンで価格が違う。
スキー場でチケット購入

有人の窓口と自動券売機の両方があることが多いです。ハイシーズンは友人窓口がめっちゃ混んでることも。自動券売機では発券できる種類が限られていて一日券しかなく、11:00から券とか午後券は有人窓口でしか買えないこともあります。また、オンラインで買って、券売機でバーコードを読み取って発券することができるスキー場が多くあります。
チケットは磁気



チケットは磁気チケットになっています。
ほぼ全てのゴンドラ・リフト乗り場にゲートがありチケットをタッチして通過する仕組みです。なのでスキーウェアの腕や肩の辺りにこのようなカードホルダーがあると便利。
プラスチックカードの磁気チケットは返却するとデポジットが2-5ユーロ戻る
チケットの材質には2つあり、日本の電車のチケットのような紙磁気のものと、クレジットカードのようなプラ材質のものがあります。いずれも磁気で、ゲートにかざして通ることには違いはありません。プラの材質のものの場合は、1−2€程度のデポジットが取られているので、返却時するとデポジットが戻ってきます。紙のものは捨てるべし。
チケットが高いし複数日券でもさして安くない
チケットは日本のスキー場に比べると高く感じるところが多いと思います。でも、もしもチロルエリアなどの大規模なスキー場に行けば理由は納得できるはず。白馬全山が一つのスキー場になったような規模のところが多いのです。ハイシーズンの価格は、小規模で安いところで50€/1日、高いところで75−80€/1日といったところでしょうか。また、複数日券(2日券とか1週間券とか)を買ってもさしてお得でもありません。毎日滑るかわからないなーというときは1日券を毎日買うということでいいと思います。
スキー場に行く
スキー場の駐車場

こちらのスキー客は長期滞在のことが多く、スキー場周辺のホテルなどの駐車場に停車したままのことが多いです。このため、長期滞在客の多いスキー場周辺では大きな駐車場が少ないことも。このような場合でも、町のはずれにあるようなゴンドラ乗り場あたりには広めの駐車場があったりします。逆に、ウィーンや大都市近郊で日帰り客の多いスキー場には大規模な駐車場が整備されていることが多いです。
スキー場駐車場での車中泊は禁止
ほとんどの場所で、特にスキー場の駐車場は営業時間外は駐車禁止。特に夜間に駐車はできません。また、車中泊はキャンプサイトや専用駐車場(RV Park)、高速道路のRastplatz、以外で一般的に禁止。一般の駐車場で仮眠以外に宿泊することはできません。Park4Nightなどの専用アプリなどで宿泊可能な場所を使いましょう。
スキーバスを使う

宿がスキー場から離れているような場所でも、冬季ハイシーズン中は町からゲレンデにバスが頻繁に周回していることが多いです。しかもスキーバスなら無料のこともあります。そんな宿には時刻表が置いてあることがほとんど。バスも有効活用しましょう。
ウィーンからWintersport-Kombiticketsを使って電車でスキーに行く

OeBBのサイトにはWintersport-Kombiticketsなるものがあります。これ、めっちゃお得です。電車のチケットとスキーパスが一緒になっているもので、車がなくて電車で行く場合はかなりお得でおすすめ。
また、このWintersport-Kombiticketsサイトでおすすめされているスキー場は、電車の駅がスキー場の麓の街にあったりと便利な場所ばかりです。(Stuhleckはバス乗り継ぎあり)ちなみに、スキー専用のバッグがなくても大丈夫。スキーやスノーボードを”生”で持ち運んでいる・電車に載せている人が結構います。エッジが人に当たらないようにさえ気をつければ大丈夫。心配ならゴミ袋で巻いてしまえばOK。
オーストリアのスキー場のコースの特徴
コースの色分けは青(初級)赤(中級)黒(上級)

青(初級)
赤(中級)
黒(上級)
日本だと山頂あたりが急斜面ということが多いのですが、オーストリアではゲレンデの下部の斜度が一番きつく黒(上級)コースになっていることが結構あります。これは山の成り立ちの違いです。自信がない場合は、ゴンドラで下山することも検討しましょう。初心者は特に、人任せにせず滑る前にコースマップを確認のこと。
上級・黒コースは本当に斜度に注意

黒コースはごくたまに実際、本当に危ないところもあるので要注意。斜度が70度なんてこともあります。このような斜面では、雪がしばらく降っていないとただのアイスバーンになっていて、一度転ぶと100 mとか転げ落ちる可能性もあります。スキーの場合は特にダメージ不可避。
”コース外”という概念はなく、ピステ(圧雪)かオフピステ(非圧雪)か、いずれも自己責任

日本でも最近は、非圧雪エリアやゲレンデアクセス可能なバックカントリーコースをウリにするスキー場が増えてきていますが、こちら(ヨーロッパ)にはそもそも日本のような「コース外」という考え方がありません。
圧雪されたゲレンデを滑ろうが、コース脇の非圧雪のオフピステに入ろうが、基本的にはすべて個人の自己責任。その日の雪と地形を読んで自己責任で楽しむ、というのが前提になっています。
ただしもちろん、どこでも自由に行けるわけではなくて、
- ゲレンデに雪崩が流れ込む危険がある場所
- 滑落や落石のリスクが高い場所
- 管理上どうしても危険と判断される場所
といったエリア(マーキングされています)は、しっかり「立ち入り禁止(closed)」になっています。ここは日本と同じで入ってはいけない場所です。こういう場所には絶対入らないこと。
また、こちらではコース内での事故とコース外(オフピステ)での事故は保険や扱いが区別されています。コース内はスキー場が管理する範囲ですが、オフピステは完全に管理外の山岳地帯と見なされ、救助が必要になると山岳救助相当の費用がかかることもあります。まぁ、この点は日本も同じなんですが「うわー!コース外滑走してる!!」みたいな後ろ指刺されることがないという意味です。
そんなわけで、こちらでは「自由だけど、責任もその分しっかり自分で負う」という文化が根付いています。
スキーツアーコース(自己責任)

スキー場のゲレンデマップに、波線で書かれたコースが現れます。また、コースの看板も上記の写真のように菱形になています。それは圧雪も何もされていない自然の地形のままのスキーツアーコース。すなわち、リフト・ゴンドラアクセスできるオフピステ・サイドカントリーのようなもんです。初級者は決して入らないように注意しましょう。装備なしで入ってくる人もいますが、最低限、雪崩ビーコン・シャベルを装着して入ることを推奨されるかと。
ゲレンデが森林限界より上

ウィーンから離れるほど(西に行くほど)一般にスキー場の標高が上がる傾向があります。標高の高いゲレンデでは、森林限界よりも上にコースがたくさんあり、写真のようななんとも言えない景色が広がります。これが日本のスキー場との1番の違いで、オーストリアのスキー場の最大の魅力だと私は思っています。
ゲレンデが標高3000m超えることも

氷河エリアのスキー場では、ゲレンデ上部の標高が3000 mを超えるところがあります。富士山山頂に近い標高では、健康な人でもゴンドラを使って一気に標高を上げてくるわけですので、体調不良不可避です。ちょっと動くだけで息が切れるのですが、それだけで済まずに滞在時間が長いほど/運動量が多いほど、頭痛、吐き気、ふらふら感などが出ることがあります。症状が出たら迷わずシンプルにすぐに標高を下げて安静にしましょう。
また、小さなお子さんを連れて行く時は要注意(年齢or身長制限でゴンドラに乗れないはず)。とあるスキー場のサイトには、0−2歳:2000 mまで、2−5歳:2500−3000 mまで、5−10歳:3000 mまで、10歳以上になれば症状を訴えられるはずなので大丈夫だろうという指標が出ています。
オーストリアのスキー場のリフトやゴンドラの特徴
基本的に日本と同じです。ただ、施設や設備が巨大でモダンで、ちょっと圧倒されることもあるかもしれません。
リフトが8人乗りとか

日本だと4人乗りのリフトが一般的ですが、こちらは6−8人乗りがたくさんあります。しかも椅子はシートヒーターが付いてて暖かかったり。
リフト乗り場の足元がベルトコンベア
日本にもいくつかのゲレンデに出現しつつあるようですが、乗り場の足元がベルトコンベア式になっている(お子さんとかが自分で乗り場まで移動しなくても良いように)ことが多いです。最初、面食らうけど、大丈夫。すぐ慣れます。
Tバーリフトがたくさん残っている


日本ではほとんど消え去っている、Tバーリフト。座るのではなく、紐に引っ張っていってもらうスタイルのリフトです。スキーヤーが多いオーストリアでは現役でたくさん残っています。スキーの人は良いのですがスノーボードの人は要注意。
リフトとゴンドラ交互に来る混合型の索道がある
リフトとゴンドラが同じ策動に交互に来る(乗り場は違う)があります。これも日本では見かけなくて面白いです。
変なゴンドラがある


ごく稀に変なゴンドラがあります。こちらは4連のゴンドラが4セットぐるぐる回っているタイプ。何が得なのかわかりませんが、不思議な光景です。
ランチは山小屋で


ゲレンデ内、あちこちに山小屋があります。大きなところだとビュッフェスタイルもありますが、多くは席について注文するレストラン形式。日本と同じで12時から13時ごろが一番混み合い、席は取り合いです。午後になると長々と飲んでいる人で溢れることもあります。真冬でも天気の良い日はみなさん余裕で外で食べますよ。
アフタースキー
ホテルでサウナ: 水着NG、全裸で混浴
オーストリアのスキー場近辺のホテルにはほぼ間違いなくサウナがあります。だいたい午後15:00くらいから20:00くらいまで。
サウナには、一部の外国人の方が水着を着て入っていることがあるかもしれませんが、基本的にオーストリアのサウナは混浴で全裸。水着は衛生上の理由でNGです。全裸でなくても男女ともタオルを巻いてならOK。大抵サウナ・Welnessエリアには専用タオルが用意されています。部屋からスリッパとガウン(ホテルによって貸し出し可能)でサウナ・Welnessエリアに行き、そこでタオルを巻くようにすればOKです。当たり前ですが、男女共にジロジロと人を見ないこと。
Apres Ski (After Ski) 飲み

夜23時ごろになっても、まだスキーを置いてスキーブーツを履いてバーで飲んでいる人がいるのがオーストリアのスキー場。Apres Skiの文化も面白いですよ。私は一人で行くことが多いのでほとんど経験ありませんけど。
その他
ビューポイントで写真が撮れるサービス

時々、ゲレンデでカメラマーク📸があったり、こんな機会がポツンと立っていたりすることがあります。
スキーチケットをかざしてみましょう。10秒後に写真を撮ることができます。
撮った写真は、スキーチケットに印字されたチケットの番号(すごく小さい文字で印字されています。)を入力することでネット購入できる仕組みです。高いけど。
滑走ルートを印刷できるサービス

ゲレンデの一番下に、何をする機械かわからない機械があったら、スキーチケットをかざしてみましょう。
その日に通ったゲートの時間の情報から何本リフトに乗ったか・滑ったかがグラフでレシートのような紙に印刷してくれるサービスがあります。これはいつも無料です。
