慣れ親しんだ世田谷の自宅を出発し、成田空港に向かったのは2018年8月30日。前日までの大学での勤務を終えて、深夜まで部屋の掃除やパッキングに追われての出発となりました。
着任が決まるまでの経緯については、またおいおい書いていきたいと思いますが、忘れないうちに日々の動向も綴っておこうと思います。
以前にもこんなことがあったのですが、野生の感がして念のための念のためと、出発時間の3時間以上も前に成田に到着する成田エクスプレスに乗り、開いたばかりのスカンジナビア航空(SK)のカウンターに直行しました。地上業務は全日空(ANA)が代行していました。チェックインは余裕であると高を括っていたのですが、
職員: 日本にお戻りの航空券はお持ちですか?
私: いいえ、移住するので、持っていません。
職員: では、ビザはご取得済みですか?
私: 渡航してから居住許可を取得することになっているので、持っていません。
職員: ですと・・・申し訳ございませんが、ご搭乗頂けません。
私: えっとー・・・?
いわく、90日以内に日本に戻るチケットを持っていない(不法滞在する可能性がある)人を航空機に乗せると、航空会社がペナルティを課せられるのだそうです。このような場合、航空会社が見逃しても、EU圏に入国できません、と言うのです。Employment LetterやらOffer Letterやら手持ちの国際機関に採用され移住することを証明するような機関ロゴ入りの書類を見せるものの、その中に「ビザなしで渡航せよ」と記載がないとダメなのですと悲しそうに告げる地上職員さん。私も悲しいよ。もしくは、この旅行に関連づいた90日以内のリファンド可能な帰国便のチケットをご購入下されば・・・、とおっしゃいます。いやいや、リファンド可能なチケットってめっちゃ高いでしょうよぅ〜。
他にも、私の旅程に関するセキュリティクリアランスを得たという国連のメールを見せるも、メールではなく例えば外務省や大使館が出したオフィシャルな書類が必要とのこと。現地で就職される日本人の方はみなさんそのような書類をお持ちなのですが・・・(どうしてあなたは持っていないのですか?というニュアンスでした)と。
ANAは地上業務を代行しているだけなのでと、SKの担当者としきりに電話で確認してくださいますが、ダメだと言い続けているのはSKのようです。30分ほどカウンターでやりとりしたのち、少々確認しますのでおかけになってお待ちくださいと言われました。こんなこと、以前も(全然別件だけど)あったなぁ〜。あの時も超焦ったなぁなんて呑気に思い出しながら座れる場所を探して移動しました。在日オーストリア大使館のホームページやら他に役立ちそうな書類やメールがないかを確認してPDFに落として、コンビニ印刷しようと準備をします。
その時、ふと、11月末にある研究会で日本に帰ってくるチケットをつい4、5日前にとって、昨日やっと旅程の確定のメールが来ていたことを思い出します。その帰国便までの日数を数えるとギリギリ90日以内です。カウンターに駆け寄って、その旅程をPCの画面で見せて、SKの担当者のOKが出るまでまた待ちます。最終的には、それをなんとか帰国便と認めてもらうことができ、無事にSK便に乗せてもらうことができました。
真面目に生きているはずなのになぜか道が曲がっていき、慎重にやってるはずなのに他の人がはまらないトラップにハマる人生です。ねぇ、他の国連機関・国連関連機関に直接採用されて行く人たちはどうしているの?独り言を何度も繰り返しました。(ああ、これも2度目ですが、それはまた後日。)
何はともあれ乗れたのだからいいや、またネタが一つ出来たね、ふふふん。とエコノミーの列に並んで搭乗しました。SASの利用は、初回はスウェーデンへの留学、その後のスウェーデン訪問やヨーロッパ旅行でよく使ってきました。何故かって?安いんです。3ヶ月前にでも取れば、コペンハーゲン(CPH)経由ストックホルム往復が、8万円もしないこともあります。そんなわけで、いつもの時間、いつものCPH行き、いつものA340の機体・・・あれ?座席の質感が何か違う・・・。
気づかぬうちにSAS Plusとやらのビジネスクラスよりは低いけどエコノミーよりは偉い座席を取っていたようです。どうりで指定できる座席の数が少なかったわけだ。あの時点で既にエコノミーは売り切れていたということだったようです。エコノミーしか乗ったことがない人生でありましたが、奇しくも、初のエコノミー脱出となりました。
到着したCPHは雨です。灼熱熱風だった東京と比較すると肌寒いレベルです。次の難関は、CPHでのEUへの入国審査です。でも、ここではクリアランスが取れてるはずなので、大丈夫と信じて通ります。日本人のパスポートなので、ほぼ何も聞かれずにハンコを押されそうだったのですが、私が書類の入ったクリアファイルを持っているのを見つけた審査官が、「何か見せるものがあるの?」と。「聞かれたら見せるよ。」と言うと、「何しに来たの?」「2日間の観光と、今のところ3年の予定で国連機関で働くために来ましたよ。」とEmployment Letterを見せると、読みもせずに「そうか、いらっしゃい。」とハンコをぽん。あっけなく、EUに入国することができました。拍子抜け。いや、そうだと思っていましたよ。
次のオーストリア航空の便が、ゲートを離れてから1時間ほど空港内で停滞していたこともCPHを飛び立ったこともぼんやりとしか覚えていません。Emergency Exitの席だから責任重大だったはずなんだけど・・・。出発までの数週間、睡眠時間も少ないのに週末は山に行ったり無理をしていたせいか、寝ても寝ても寝ても寝ても寝たりません。ウィーンの空港に降り立った時にはグロッキーで、一度は電車に乗ろうと思ったものの、タクシーを選択しました。30分もせずにホテルにたどり着くことができて、ワインを飲んで、幸せに就寝。
これからこの街で生きていくのだということがまだよくわかっていないようです。旅行とは違うんだ、ということはなんとなく理解しているのですが。自分のことが他人事、どこか俯瞰して不思議な体験を見ているようです。
とまあ、こんなことを書いていて、同じような職に就かれる方や既に就かれている方から怒られたりアホすぎてびっくりされたりしないかが心配です。ウィーン愛憎の著者の方も変わってるなぁと思ったのですが、客観的に見た私も相当ダメな人なのかもしれません。本当にそうだと気づいた時には、削除しましょう。
いや、でも最後に一言追加しましょう。片道航空券にはご用心を!どうりで往復買って復路を捨てるという話が出てくるわけだ!
2018年10月18日 追記。何人かの日本人職員の方に聞きましたが、みなさん片道切符を購入されて普通にこられたそうです。ただし、日本の官公庁からの出向の方ですので、派遣を証明する証明を持っていらっしゃったとのこと。
2018年11月12日 追記。さらに何人かのJPO、出向者の方に伺いましたが、みなさん片道切符です。JAL、中国、中東系航空会社などの利用でした。

初めから不法滞在しようとする人が、わざわざ高い片道切符を買うことはないと思うんですけどね。往復を買っておいて、帰りの便に乗らないだけとか。こちら(US)では、ビザ無しでは片道切符は購入できませんでした。
ちなみに、アメリカからウィーンへ戻ろうとして、似たような状況に出くわした人もおりました。
LiLA管理人さん、初コメントありがとうございます。不法滞在というよりも高いお金を払ってでも亡命しようとする人はいるかもしれませんですね。ウィーンにお戻りになる時にそのような目に遭われた方に、来週詳しくお話をお伺いしようと思います😐