オーストリアで山小屋泊を楽しむには。

以前に書いた通り、オーストリアでは山だけでなくWild Campingが広く厳しく制限されています。従って山での縦走は、必然的に山小屋を渡り歩くツアーとなります。このため、山小屋間を確実に行ける時間配分やコース設定に神経を使うことになります。さらに、人気の山域では何ヶ月も前から山小屋の予約が必須です。そんなわけで、あまりフレキシビリティーがなく気持ちが向かないので、経験が少ない中での忘備録です。

  • オーストリアでは一般的に山でテント泊(キャンプ)禁止
  • 従って山での縦走は基本的に山小屋を渡り歩くツアーのみ
  • テン泊やキャンプをしたければ麓のキャンプサイトで楽しむべし

Wild camping禁止については以下を参照ください。

そして、山小屋の利用にあたっては、

  • 必ず予約すべし
  • 現金を持っていけ
  • ゴミは持ち帰るべし(民家に近い一部の山小屋では立派なゴミ箱あり)

です。他の注意点としては、

  • 登山口や山小屋は今でも携帯電話は圏外のところ多し
  • 山小屋ではオーストリア式に過ごすしかない(食事は必ずオーダーする、自分で調理しない)
  • 節水。十分な水量がなければシャワー禁止、流水なしの場合も
  • 洗顔などは自然に還る成分のみ使用可能

この辺りを順を追って説明していきたいと思います。私の経験からの主観ですので、間違いが含まれいることもあるのをご了承ください。

  1. オーストリアでは山でのWild camping禁止
  2. 山小屋の種類
    1. Hutte
    2. Alm(Alm)
    3. 避難小屋(Biwak)
  3. 山小屋の利用ルール
  4. 山小屋に行くまで
    1. 営業
    2. 営業時間
    3. 基本価格は固定
    4. 予約
  5. 山小屋での一般的なこと
    1. 登山靴禁止
    2. 部屋
    3. 食事
    4. 支払い
    5. 充電
    6. 水道
    7. トイレ
    8. その他注意
  6. 有用リンク2024
  7. 山小屋ツアーでのおすすめ持ち物

Wild camping禁止については以下を参照ください。

というわけで、山小屋泊をすることになるのですが、ここで基本的なことを。山小屋には少なくとも小屋番(管理人がいる)2種類(Hutte or Alm)と、管理人のいない避難小屋があります。

Hutteは一般的な山小屋。サイズは大小様々ですが、大抵の場合は、お食事ができてベッドがあります。Almはどちらかというと畜産業(放牧)の傍らで山小屋をやっている感じの場所で、放牧地の近くにある感じ。そして最後に避難小屋は日本と全く同じ、緊急時の避難小屋。

Hutte

ヒュッテ(Hutte)=ハット(Hut)。ヒュッテ(Hutte)、英語で言うとMountain cottageとかMountain hut。スキーや山関係の日本語には、ドイツ語から来ているものがたくさんありますが、ヒュッテもその一つ。そのまま、山小屋です。Wikipediaによると、

日本語で用いられる「ヒュッテ」という言葉は、1910年オーストリア陸軍のレルヒ少佐が、日本にスキーを伝えた際に、導入された登山用語のひとつ。

夏の間も営業しているHutteと名のつくところの多くは宿泊も可能なものが多い気がしますが、レストラン(いわゆるCateringサービス)だけの小屋もあります。例えばスキー場のレストランがそのまま夏も営業しているような場合、お昼間だけ営業で宿泊施設なしという小屋もあります。

Alm(Alm)

アルムというのは、山の上で羊や牛などを飼っている放牧地のこと。その近くにある山小屋にはよくXXXXAlmという名前が付いています。

夏場、動物たちは標高の高いところに移動してきます。それと同時に人間に対するサービスもオープンするようなスタイル。登山者から見ると大きくHutteと違いがあるわけではないように思うのですが、例えば料理で提供される牛乳やチーズがそこの動物たちから得られたものだったりします。

避難小屋(Biwak

最低限、雨風をしのぐことができる小屋です。人はいません。中が汚いことも大いにあります。

山小屋の多くはいずれかのオーストリアやドイツの山岳協会に属していて、そんな場合は、以下の規定に沿った営業をしています。日本人にはちょっとびっくりしてしまうかもしれない数々のルール。詳細は2022年に発行されているHut Regulations 2022 ENGをご覧ください。私の理解で要点をピックアップすると、

  • Sleeping sheet(ベッドシーツ、寝袋用のライナー)を使うことが義務
    • 布団や枕は提供されるが、洗濯ができないので、衛生上の理由から肌と布団類が直接触れないように自分をラップするシートを持ってくること、使用することが必須です
  • 自分の持ち込み食事を取ることは禁止
    • 一部、自炊エリアを使う権利がある山岳会メンバー、または有料で小屋の施設を使うことができる場合を除くらしい
  • 持ち込みアルコールも禁止
  • 小屋はfrom 22.00から 06.00hourは静粛に
    • 結構22:00ぎりぎりまでみんな飲んでるし、日本のように早朝4時とかから行動を開始する人は少ない
  • ラジオ、TV、音楽のプレイヤーはDay areaと寝室で禁止。ただし、天気予報や雪崩情報の情報収集をヘッドホンで小屋が定める時間に聞くことは例外
    • →逆にいうと全てのエリアでヘッドホン禁止ってことかと
  • 室内禁煙(屋外は大丈夫)
  • 居住エリアでは調理も食事も禁止、火の取り扱い禁止、登山靴・スキーブーツ着用禁止

と、当たり前と言えば当たり前のことが明確に記載されています。


営業

低地の山小屋は通年営業のこともあるし、5月ごろから11月ごろまでの営業もありますが、高知では6月末から9月中旬までが一般的。

営業時間

18時ごろには夕食が始まることが多く、18時までの到着が基本。朝8時から18時までが受付に人がいることが多いです。ただ、大抵の山小屋にはレストランエリアがあり、22時の就寝時間直前までお酒を飲めたりトランプなどゲームをしているグループも多いです。そのため、大きめの山小屋では、スタッフも22時ごろまではウロウロしていることが多いです。

基本価格は固定

価格は山岳協会の山小屋であればほぼ固定の価格です。小屋にカテゴリ分けがされており、小屋のカテゴリ・登山者の年齢・登山者が山岳協会の会員かどうか・犬連れか、のコンビネーションで金額が変わります。

予約

山小屋によって予約方法が異なります。小さめの小屋で多いのが電話受付だけのパターン、電話とメールのパターン。ÖAVなど山岳協会所属の山小屋では山岳協会のサイトやHut Reservation https://www.hut-reservation.org/ という協会員向けのサイトから予約も可能。ただし、個人営業の場所はそれぞれ異なるシステムから予約の必要あり。チロル地方など大きなところではWeb予約も支払いも可能なこともあります。


登山靴禁止

ほとんどの山小屋では、day visitorsエリア(誰でも入れるトイレやレストランエリア)と居住エリアが分かれています。居住エリアでは登山靴やストック禁止。自由に使えるスリッパが用意されていることもありますが、サンダルかホテルで拾ってきたようなスリッパでもあると良いです。

部屋

大抵、男女共用の2段・3段ベッドが並ぶ部屋(「Matratzenlager」と呼ばれます)があります。2段・3段ベッドが1−3個ある個室、雑魚寝エリアがあることもあります。いい感じの個室の複数ベッドルームを備えているケースもあります。女子専用部屋は見たことがありませんが、女子同士になるように若干の配慮をしてくれることもあります。ほとんど日本と仕組みは変わらないのではないかと思います。

一般的に毛布(ブランケット)は用意されています(ただし、宿泊客ごとに洗濯されるわけではない)。Sleeping sheet(ベッドシーツ、寝袋用のライナー)を必ず持参。木造の建物が多いので、寒さが気になる場合は自分でSleeping bag(シュラフ)を持ち込む選択肢もあって良いです。

電気があることもあるけど、ない方が多いと思います。日が長いヨーロッパでも、さすがに就寝時間前の部屋は真っ暗になりがち。荷物が見えませんので、ヘッデンとか小さなトーチがあると良いかと思います。

食事

多くの山小屋は、お昼間は全ての登山客向けにレストランとしての役割を担います。マイナーなルートのマイナーな小屋ほど食事のバリエーションが少ないのは仕方がありません。規定としてどの山小屋も12:00-20:00の間は最低一品の暖かいご飯を用意することになっているようです。ただ、どこまでいっても持ち込みのものを食べることはできないので(ある程度は許容してくれると思いますが、どのみち火は使えない)、ドイツ語圏ご飯を覚悟しましょう。調理エリアは山岳協会会員だけに許可されているときもありますが、山小屋ごとに違います。

支払い

現金しか使えないことも多いので、現金を持参のこと。宿泊費(25-50ユーロ程度が多い)+朝ごはん+夕ご飯+飲み物代です。到着日の夕ご飯+翌朝の朝ごはんがセットになっているHalf Board(ドイツ語ではHalbpension)がデフォルトでついていることが普通です。また、早朝出発する人もいるので、支払いは朝ではなく前日の夜にまとめて支払うことも多いです。

充電

モバイルバッテリー、充電ケーブルは必須の持ち物。太陽光パネルバリバリの小屋やスキー場内にあるような小屋なら電気が使える可能性も。しかし宿泊者が多ければ電源争奪戦も。

水道

標高の低い山小屋やスキー場内にあるような山小屋では、メインの上下水道に接続されているケースもあり、そのような場所では心配はありません。標高の高いところでは、雪解けや雨の状況により水がない、温水が出ない、温水シャワーは数ユーロで2-3分だけ、いろいろなケースがあります。使用する石鹸類は自然に分解するもののみ使用可能。

タオルは借りることもできないはずなので、旅行用の速乾素材のタオルは持っていきましょう。あとは節水のために、体を拭くすっきりシートなんかもあると良いかも。

トイレ

標高の低い山小屋やスキー場内にあるような山小屋以外では、日本と同じボットン便所。手洗いも水がなくアルコール消毒だけのこともあります。

その他注意

山小屋のレストランで英語メニューがない、山小屋の従業員が英語を話さないということもあり得ます。特に、チロル地方の大きな山小屋以外の、ローカルな場所では日常茶飯事。いざという時のために小さい英独辞書を持っていくかオフラインで使える携帯辞書Appがあっても良いかと。 



まとめると、キャンプ用品は家に置いて、以下のものを持っていくと良いと思います。

  • Sleeping sheet(ベッドシーツ、寝袋用のライナー)
  • ヘッデン
  • モバイルバッテリー
  • スリッパかサンダル
  • トラベルタオル
  • 歯磨きや顔洗う用のコップなど
  • ゴミ袋(持ってきたゴミは持ち帰る)

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